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フォトグラファー 吉村 隆氏による【CL75DHOP】製品レビュー

企業サイト用の人物撮影、商品撮影、店舗・社屋撮影を中心に活躍され写真教室講師として撮影スタッフの人材教育や技術指導を行っているフォトグラファー 吉村 隆氏に「EOS 5DMK-IIモード搭載!7型HDMI入力/出力端子搭載デジタル一眼レフ用液晶モニター【CL75DHOP】」をご使用いただき使用感など感想をいただきました。

  • CL75DHOP は「ピーキング」「ゼブラ」「フォールスカラー」「ヒストグラム」の4つの新機能を持っている。 ヒストグラム機能は一眼レフカメラでもお馴染みだがそれ以外の3 つは、写真のカメラマンの私は初めて使う機能だ。 今回、レビューの機会をいただいて屋外と室内でCL75DHOP を使ってみた。

    まずはEOS 5D Mark II を使って鉄道動画撮影に挑戦。私自身は鉄道の撮影は、なんと初めてなので撮影画像については、どうか大目に見ていただきたい。一般ユーザーが、一眼レフカメラにCL75DHOP を装着して屋外で動画撮影をするシーンのひとつとして鉄道動画撮影があげられると考えたのである。

    ビデオ用雲台にEOS 5D Mark II+EF24-105mm F4L をのせカメラのホットシューにCL75DHOP に付属するシューマウントアダプタでモニターを装着、同じく付属のHDMI ケーブル(1m)で接続している。 バッテリー F970 を背面に付けたので、かなり重くなってしまった。撮影の時点では、EOS 5D Mark II のバッテリーが使えるプレートが間に合わなかったが、LP-E6 だったらバランスが良いだろう。


    大型サンシェードはCL75DHOP の特長のひとつだ。この日の晴天・順光の状況でも深いシェードがモニター画面を完全にカバーしている。300 cd/m2 と明るい画面の視認性は良い。ただ、この日は風が強く、サンシェードが風を受けて揺れることが多かった。 CL75DHOP をカメラのホットシューに取り付けるとモニターの揺れがカメラに伝わり、映像のぶれにつながる。 これは屋外での使用では、気を付けたい点だ。

    今回初めて鉄道動画を撮って、気が付いたことがある。 線路は意外に高い位置にあるということだ。鉄道ファンから見れば、当たり前のことなのだろうが。カメラを高い位置にセットするとカメラマンも脚立などにのってファインダーや液晶画面を見なければならない。しかし、CL75DHOP のようなモニターを低い場所に設置すると無理なく撮影をすることができるのではないだろうか。

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    列車を撮影するにあたり、フォーカスは「置きピン」にした。 撮影前に画面内の標識、敷石などにフォーカスをあわせておく方法だ。EOS 5D Mark II 側でライブビューを拡大表示し、CL75DHOP の画面で見ると任意の場所に楽にフォーカスを合わせることができる。


    ピーキング機能は、フォーカスがあっているエッジの部分を赤色で表示することでフォーカス操作を助けてくれる。 ただし、このように手前から奥までフォーカスがあっているシーンでは、大きな効果は無かった。 ピーキング機能には、距離の情報が無いので電柱や電線など「エッジ」と判断されるものはすべて「ピーク」として赤く表示されてしまうのだ。

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    ゼブラ表示は画像の白とびをしま模様で警告するビデオカメラ特有の機能だ。 これに似たものに、一眼レフカメラのハイライト表示がある。白とびを黒の点滅表示で知らせる機能だ。 ただしEOS 5D Mark II のハイライト表示は動画再生時、しかも一時停止状態でしか機能しない。 CL75DHOP のゼブラ機能はカメラから出力された画像のハイライト部をゼブラ表示しているので一眼レフカメラでも撮影しながら露出の限界を判断することができるようになった。


    フォールスカラー機能は、露出レベルを色に振り分けているので写真出身の人間には、少し慣れが必要だ。 前述のゼブラ機能では、白とびした部分しか判別できない。そのため、人の肌色の明るさの限界などは見分けにくい。 こういう部分は、フォールスカラーを判断基準にするとよいだろう。最初は、肌のハイライト部が赤くなっていると限界、というように 自分がよく撮影する分野の表示から覚えていけば、やがて、ハイライトからシャドウまでをフォールスカラー機能でチェックできるようになると思う。

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    ヒストグラム機能のグラフは画像の中の輝度別ピクセルの分布を示しているので映像の内容によってその形は様々だ。 例えば列車が近づいて、画面内でのその大きさが変わるとヒストグラムの表示も変わってしまうのである。 これは撮影時に使うというよりは、撮影前に露出を決めるときや、再生時に露出が適正かをチェックするときに役に立つ機能だ。 このグラフを見ると、ヒストグラムの右側が右端にぶつかっていないので、空の雲は白とびしていない。しかし、左端に黒を示す部分が高くなっているので車体の下は黒くつぶれ気味だということが判断できるのである。


    室内撮影では、商品撮影をマルチモニターで行った。 CL75DHOP にはHDMI 入力端子とHDMI 出力端子がある。このため、カメラから出力された画像を、CL75DHOP を経由して もう一つのモニターにも表示することができるのだ。カメラマンの他に、ディレクター、デザイナー、クライアントなど大勢の人がいる撮影現場では、大きなモニターでも表示する必要がある。CL75DHOP はプロ仕様だと言える特長のひとつだ。


    室内でも、フォーカス合わせの点でCL75DHOP の効果は大きかった。 レンズの絞りをあけて被写界深度を浅く、ぼけ味を大きくしたためフォーカスの範囲はとても狭くなっていた。 5D-Ⅱモードで、ライブビュー画面をいっぱいに表示したのちさらに、カメラ側で画像の拡大操作をするとフォーカスのヤマがとても見やすくなった。


    ぼけ味が大きい画像なので、ピーキング機能の効果を期待したが残念ながらフォーカスがあっているのにピーク表示が出なかった。 画像のコントラストが柔らかかったせいなのかもしれない。いずれにしてもピーキング機能はその効果が発揮できるための条件があるようだ。


    ゼブラ機能は、表示したままでも撮影ができる点が便利だ。白い粉砂糖がゼブラ表示されていて、真っ白に描写されていることがわかる。この場合はそれが適正な露出なので、このまま撮影することができた。 フォールスカラー機能も、これだけシンプルな撮影内容だとわかりやすい。 ただ、このまま撮影することはできないので撮影前後の露出チェックに使うのが最適だろう。


    ヒストグラムが右端にくっついていることからもこの画像の中の「白」は白く写っているということが判断できる。 画面全体に対してヒストグラムが小さいとも感じるが撮影時、再生チェックでも邪魔にならないことが優先だ。 CL75DHOP は携帯性と映像の視認性が良い。 デジタル一眼レフカメラでの撮影と再生チェックでカメラマンを助けてくれるツールだ。 今回搭載された新機能はビデオ業界必須のものなのかもしれないがどれが役に立つかはユーザー次第というところだろう。 一眼レフカメラからのHDMI 出力は時間がかかるようだ。これにモニター内での処理が加わるのでモード切替え時に何秒か待たされることがある。これは5D-Ⅱモードとの引き換えなので最初は少々とまどうかもしれない。

  • 吉村 隆氏プロフィール
    URL:  http://home.b-star.jp/~yosimura/index.html

    1987-2006 年 コマーシャルスタジオ勤務
    1998-2003 年 日本写真学園非常勤講師
    1999 年 デジタルカメラ導入
    2002-2006 年 写真表現中村教室講師
    2006 年- フリーランスフォトグラファー
    個別指導の写真教室開講
    企業サイト用人物、商品写真が主な撮影ジャンル。