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  フォトグラファー 梶原 崇史氏による【CL75HOX】製品レビュー

スチル・ムービーカメラマンとしてアーティスト撮影、CM撮影、広告写真撮影など幅広く活動されている梶原崇史氏に高輝度IPSパネル採用!超薄型軽量7型フィールドモニター【CL75HOX】をご使用頂き、ご感想をいただきました。

  •  写真撮影の他に映像撮影も多いのですが、DSLR、ビデオカメラやアクションカメラ等、撮影シーンや案件によってカメラを使いわけ、多種多様の用品、機材と組み合わせて一人の場合でもいかにスピーディーに効率よく撮影ができるかを模索しています。
     CL75HOXを使うことによって新しい撮り方が可能になり、カメラの取り扱いが容易になりました。




    自由度が高く、撮れる絵が広がる モニタリングが楽に
     DSLRはあくまで写真撮影用のカメラであるためビデオカメラと同じようにというわけにはいきません。DSLRを使用して映像を撮る際には、バリアングルでない固定式の背面液晶の場合、モニタリングではカメラマンの動きや姿勢が制限されます。そのためカメラの取り回しが非常に難しく、撮影の自由度が低くなります。

     しかし外部液晶モニターをつけることによってアングルの自由度が高まり、DSLRが従来のビデオカメラのように持ちやすく撮影しやすい機材に近づきます。また、撮影者の工夫次第で撮れる絵の幅が広がり、撮影の幅がより一層広がります。

     例えば、カメラを三脚に固定して足を目一杯伸ばして使用する場合がありますが、その際、カメラ位置が身長より高くなることもあり、カメラの「モニターを見ながら」「アングルを決め」「被写体を追いかけ」「撮影をする」動作は非常に困難です。また、眼が届く距離の高さに調整しても正面のモニターを見続けるため、非常に辛い姿勢をキープしなければなりません。
     そこで、外部液晶モニターをHDMIケーブルでカメラに接続し、同社の製品にあるクランクアームとクランプを使用して三脚の足に固定すると、かなり自由なポジションで楽な姿勢で映像を確認できます。これは、地面に近くなるローアングル時での撮影にも同じことが言えます。




    アクションカメラをより効果的に使う
     研究用の学術資料の撮影でアフリカ等のスラムを撮ることがあるのですが、持ち運べる機材に限界があるのでDSLRだけで写真と映像の両方の撮影をしていました。その際、DSLRをスタビライザーに取り付けて撮影をするのですが、機材自体が非常に重くなってしまい、カメラ背面の液晶では目線が常に前方に固定されてしまうためモニタリングやバランスをとるのが非常に困難で身体にかなりの負担がかかりました。

     試行錯誤をして現在はアクションカメラを使っての撮影に方法を切り替えたのですがアクションカメラにはモニター自体がないため映像の確認ができません。

     そこでアクションカメラにCL75HOXを接続しスタビライザーに取り付けてバランスをとったところ、とても軽量になり、機材の取り扱いが容易になりました。また、CL75HOXは三脚穴が4箇所あるため、撮影者のスタイルに合わせてモニターのアングルを自由に動かすことができ、撮影の柔軟性が高まりました。




    シンプルな設定・美しい
     カメラマンが撮影時の外部液晶モニターに求めることはとてもシンプルです。それは、映像がすぐに出力されてモニタリングができ撮影ができること。  CL75HOXの準備はとても簡単です。①バッテリーを装着し、②本体の電源を入れ、③HDMIでカメラとつなげる、だけ! わずか“3アクション”でDSLR独特の美しいボケのある映像がモニターに出力されます。さらに、スケーリングとアスペクト比の調整もワンボタンでできるので、多くても“4アクション”で使用できます。とりたてて難しいことを考える必要はなく、すぐに撮影に使用できます。

     何と言っても特筆されるのは、高輝度IPSパネルの美しい画面です。CL75HOXの特徴でもある高輝度IPSパネルから出力される絵はとても美しく、カメラの液晶に映し出される映像と比較しても違和感のない色表現です。画面が大きいので、これまではカメラの液晶画面では小さくて見落としてしまうような、写したくなかったものや映り込み等も容易に発見することができ、ミスを減らすことができます。
     このように、美しく大きな画面で画角と露出を確認できるCL75HOXは、写真撮影時では静物撮影に向いていると感じます。露出の確認は定常光での撮影に限定されますが、モニターを通して露出の変化が確認できるため、露出が外れる心配もなくなります。また、マウントアダプターをつけた電子接点のないオールドレンズやマニュアルレンズを使用する際には、DSLRの小さなファインダーではピントを目視で合わせるのが難しいですが、CL75HOXを利用することでモニターに出力されるライブビューの映像を見ながら簡単にピントが合わせられるようになります。




     もちろん、CL75HOXはそれだけではなく撮影をサポートするための様々な機能がついており、これらを使いこなすことによって様々なフォローをしてくれます。

     ビデオカメラには当たり前の機能ですがDSLRの機能ではあまりないピーキング機能でピントを合わせるのが非常に楽になります。ただし、CL75HOXは画面サイズがカメラの液晶よりも大きく、出力される映像もとても綺麗なため、ピーキング機能を使わなくても楽にピントの山をつかむことができました。また、画面が白黒に変換されるのでカメラアングルからフォーカスと一人で撮影する場合にはやや使いづらい場面もありますが、CL75HOXを二台連結してカメラのオペレーションとフォーカスの送りが分担されているような撮影ではとても有効な機能になります。

     他に特出する機能としてはクリップガイド機能があります。これは白トビしている部分や露出アンダーで黒く潰れてしまっている部分がリアルタイムで表示・確認できるので、撮影後にプレビューをしてカメラ側のハイライト表示機能から白トビに気づくというようなミスをなくすことができます。

     他にもフォールスカラー機能、ルマ アンダー(オーバー)警告機能、RGBモノクロで再現するカラー表示機能、ピクセル等倍機能等、さまざまな機能があります。しかし、CL75HOXにはファンクションキーが2つしかないため、好みの設定の幅が狭くなってしまい、スピードが要求される撮影現場ではせっかくのこれらの機能があまり活かせそうにありません。とはいえ、ファンクションキーを使用せずにダイアル式のボタンでメニューから各機能の設定ができるので、じっくりと時間をかけて撮影ができる環境ではこれらの機能はとても有効です。

    CL75HOXレビュー

     課題としては、写真撮影においてシャッターをきって画面がブラックアウトされ、CL75HOXのモニターに新たに映像が出力されるまでに少なからず時差があるため、スピードが求められる写真撮影の現場での活用が難しいという点があります。しかし、この時差がさらに小さくなれば、DSLRを用いた写真と映像の撮影を統合化する可能性をCL75HOX は秘めていると思います。すなわち、カメラマンが一人で写真と映像の両方の撮影を行うことが珍しくない昨今、映像を撮り終わった後、同じカメラで写真撮影を始める、そのようなケースが多々ありますが、CL75HOXはその切り替えを容易にすることが出来ると思います。

     わたしが外部モニターに求めることはいたってシンプルです。綺麗な画面でモニタリングしながら撮影ができること。CL75HOXは、写真と映像の撮り方やカメラの構え方の自由度を高め、撮影者の工夫によって、写真と映像両方の撮影において柔軟性と多様性をもたらす機材といえるでしょう。



  • フォトグラファー 梶原 崇史氏プロフィール
    1977年、兵庫県生まれ。
    旧ユーゴスラビア滞在中に一眼レフカメラを手に入れ独学で写真を撮り始める。
    帰国後はスタジオアシスタント、カメラマンアシスタントとして修行をした後にフリーランスとして独立。
    現在は写真撮影の他に動画撮影、編集等活動は多岐に及ぶ。
    ライフワークは研究者とともにアフリカ都市の学術的記録写真、ドキュメンタリー映像の撮影。
    URL:  http://www.takashikajihara.com/